今回、ひょんな事から観に行かせて頂いた「夜曲」

舞台を観るのは久しぶりでテレビドラマを観るより断然、生の演技が好きだ。

今回の劇場は息遣いまで聞こえそうな距離で、役者さんの熱がビンビンと感じられた。
そんな中で、座長?でもあるあんちゅの演技。

テレビでしか知らなかったあんちゅの演技は「げいにん」で見るくらいで
実際に見ると、その巧さに驚いた。
しかしまだ荒い部分があるのも確か。でもそれは経験が何とかしてくれるものであって
焦らずに積み重ねていけばもっと大きくなれると確信を持てる演技だった。

そして周りの役者さんたちの巧さも際立っていた。
30年?前の演劇を今に持ってきたのに色褪せない今回の舞台は
その役者さんたちの力でもあったと思う。

炎の表現からラスボス?感、細かな人間設定、そして人間関係。
演劇が盛んでもあった時代の作品なだけに色んなものを詰め込んでいて
それを2時間で、どう捌くかも一つの見所だったと思う。

個人的に舞台、人前に立つ人間にとって一番大事なものは
『間』だと思ってる。
これが上手くないと客席まで想いは届かない。

今回の舞台に立つ人達はその『間』の使い方が上手い。
だからこそ、生演奏でもやっていけたと思う。
でも、もっと上手くなるだろうなと感じさせるくらいの役者さんたちで
伸び代しかない舞台だったと感じさせられた。

その『間』が特に上手いと感じたナビゲーター役?の山本奈臣実さん。
さすが芸人さん。客席と舞台を見事に繋げていた。

そして千代役の河北琴音さん。
演出と共に空気を一変する力を感じた。しかもまだ若いみたいで期待しかない。

そして触れずにいられないのが乳母役の森下亮さん。
上手い。何もかも上手い。
最初、和牛のコントが始まるのかなと思うくらい、和牛のツッコミの人と
同じ声をしていた。『間』の取り方も漫才師のレベルと言っても過言ではない。
だからこそ和牛?と勘違いさせられるほどの演技力だった。
そのまま旅館のネタに入っても誰も不思議に思わなかったと思う。

最後に何と言っても古賀成美。
とにかく可愛すぎて、ずっと魅入っていた。
普段のなるからは思いつかないくらい役に入り込んでた。
後は自信、腹式を強化すれば舞台役者としても上に行けるだろう。
なるの魅力はそれだけじゃないので、色んな事に挑戦して欲しい。
本人は人見知りだと言ってるが、人当たりの良さは天性のもので
それが武器になればもっと、もっと色んな事が出来ると思う。
なるだったら失敗しても周りが許してくれるくらいの人の良さを持っている。
それは必ず演技にも繋がると感じるほどの演技でもあった。

そして衣装協力していたやまりな。
アフタートークに登場して、色々と裏話も聞けた。
やまりなは肩の力を抜いた時が一番力を出せる。
しっかりしてる分、なるとは別の角度で人当たりも良いと思う。
色んな人の力を吸い取って上がって行くんだろうなと確信出来た。


今回の舞台を観れて本当に良かったと思う。
この機会を与えてくれた、あんちゅ、スタッフさんには感謝しかない。
ちょっと古い演劇でも新鮮なものに出来るという事を
肌で感じる事が出来た。

きっと30年前にこの演劇を観た人たちと同じ感覚で観れたと思う。
きっとこんな夜だったんだと。

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